J.漬け物

 漬け物は文化であり、地方的かつ歴史的なものである。季節、地方それぞれの味が明確に存在し、他の地区と同化していない。保存食で常備したいものは、梅干しと紅生姜である。

 梅干しは
 そのまま食べる
 おにぎりの中身
 焼酎の香りづけ
 お粥の塩味 の他に、酒の肴にもなる。参考までに梅干しの酒の肴を紹介する。 梅肉をバラして器に入れ、鰹節・もみ海苔・練りわさびをミックスして醤油をたらす。冷酒の肴やご飯のおかずに合う。

 紅生姜は牛丼のパートナーのイメージが強いが、とんこつラーメンのパートナーでもある。ソース焼きそばにも付きものである。卵焼き・出し巻き卵の、黄色の隣のいろどりにも抜群である。丸のままを2ミリぐらいにスライスしててんぷらに揚げるのも精進料理にある。
 八戸近郊に八助という梅の品種がある。ゴルフボールより大きく、梅漬けとして近郊の産直の店で売られている。八戸は水揚げ量日本一の漁港であり、お土産には海産物の冷蔵品が多い。冷蔵のお土産を持っていくのは難しいので、八助の梅漬けを土産にする。その大きさにたいへん喜ばれている。やわらかい梅肉である。実際は杏らしい

47.浅漬け

 一人暮らしでは、漬け物は買うと量が多い。きゅうり漬け・茄子漬け・紫葉漬など、豊富な種類があり、紫葉漬は京都まで行かなくても手に入るのでありがたい。しかし浅漬けや糠漬けなど、新鮮な季節の漬け物は、一人暮らしや小家族では、手間や手入れ、保管などの維持管理が困難であり、作れなかった。
 市販の糠漬けや浅漬けの完成品は、つかっていなかったり、塩が強かったり。いいものもあるが、さすがに値段が高い。おふくろの味の浅漬けや糠漬けを食べたい人は、たくさんいると思う。

 私の故郷では、夏にキャベツ・人参千切り・ピーマンの細切りに塩をして、しその実の塩漬けを加えて一夜漬けを作る。生姜の細切りを入れると、風味が引き立つ。漬物というより塩味のサラダという感じであり、好みで化学調味料と醤油をたらす。

 液体の漬け汁が市販されている。最初のころは私もなかなか買わなかった。理由は市販の瓶詰のたれの完成品は甘すぎるものが多く、味に期待していなかったためである。ちなみに北大路盧山人も、料理に砂糖を使わなかったそうである。
 液体の漬け汁を使用すると短時間にできて、うまくて、かつ1回当り数十円と、コストパフォーマンスに優れている。調理時間は本格的漬け物と比較して圧倒的に短くて、樽や重しを使わず、道具はどこの家庭にも有りふれているポリ袋で、材料代も少なくてすむと、3拍子そろっている。
 コツは水分の少ない、密度の濃い野菜、キャベツ・人参・カブ・きゅうり・セロリなどを、薄く切ることだけである。厚いと味のしみこみが足りない。漬かったものを切るのではなく、薄く切った材料を、袋の中に浸して、手でもむだけである。人参はとても色鮮やかに仕上がる。開発した人に感謝する。 私など、自分ではうまい浅漬け・糠漬けは、今の住まいでは無理だと思ってあきらめていた。
 キャンプではキャベツやきゅうりの薄切りを塩で揉み、厚いポリ袋に入れてタイヤの下におく。数時間で即席の漬け物ができる。
 

48.即席キムチと高菜の油炒め

 白菜漬けを買ってきて、半分はそのまま食べて、半分は瓶詰のキムチの素を使い、キムチにして密閉容器に入れ、冷蔵庫で保管する。
 市販の白菜漬けも、塩が濃すぎたり、今ひとつ漬かり方がたりなかったりで、当たり外れがあるが、キムチの素と混ぜて数日寝かせることにより、うまくなる。桃屋様々と思っている。
 沢庵漬けを5cmぐらいの長さに切り、袋入りの味噌の中に入れておくと、数日で味噌漬けになる。東北地方出身の人は、味噌漬けに懐かしさを感じると思う。おにぎりの中に入れたり、くるみと混ぜたり。味噌漬けを作るためには、樽が必要だと思っていたが、袋入りの味噌の中に入れておくだけでできる。
 その代わり味噌には匂いが移る。味噌汁には使えないかもしれない。

ゆで卵の味噌漬けも、この方法で一晩置いて作る。弁当のおかずになる。
 ザーサイが手に入ったら、油炒めを作る。塩漬けのザーサイは保存がきく。水洗いしてナイフで薄く切り、2時間ほど、水を4〜5回替えて塩抜きをする。長く置くと味がなくなるし、短いと塩辛い。 フライパンに胡麻油をたらし、うんと弱火で炒め、好みで醤油を入れる。日持ちがしないので少しづつ作る。ご飯のおかず・ビールのつまみにピッタリである。 

高菜の油炒め
 博多とんこつラーメンが、各地で食べられるようになり、高菜の油炒めを具に使っている店もあるので、ご存じの方も多いと思う。しかし、市販品はほとんど見かけない。高菜には緑鮮やかな新漬けと、黄色っぽい古漬けがあるが油炒めには古漬けを使う。
 ボウルに水を入れて高菜漬けを入れ、塩抜きをする。2時間ほど、水を4〜5回替えて塩抜きをしてから、よく絞り、まな板の上にのせて5oぐらいの幅に切る。フライパンに胡麻油をひいて高菜を入れ、化学調味料・一味唐辛子・醤油・味醂を入れて、濃い目に味をつける。しらす干しを入れて炒めると、いい味になる。思わずご飯がほしくなる。
 八戸では高菜の古漬けが手に入らないので困っている。

ピクルス
 瓶詰で売っている保存食品である。数百円で暫く持つ。きゅうりのピクルスは、そのまのままスライスしてチーズの隣に盛れば、休日の朝のフランスパンと相性がいい。自作のハンバーガーやタルタルソースには必需品である。ペパロニという唐辛子のピクルスがあるが、これをサンドイッチにはさむ。オープンサンドのほうがよく似合うが、ハムやゆで卵マヨネーズと一緒に、パンにはさむと病みつきになる。