N.小麦粉の料理

59.クレープ

 次男が中学生の頃はクレープに凝っていた。凝っているという訳は、クレープだけは自分単独で作れるのである。
 お祭りで売っているクレープを腹一杯食べるには、自分で作るのが一番だ。クレープの生地は小麦粉・卵・牛乳であるが、ここでは市販のクレープミックスを利用する。箱入りでスーパーで売っている。安価で手っ取り早く、よいものができる。
 私が若い頃にはクレープなどはなかった。見かけるようになっても、自分では作ろうと思わなかった。理由はフライパンの整備が難しかったからである。以前は鉄製のフライパンしかなく、鉄製フライパンで料理することはプロ級の腕と、手入れの技術が必要であった。焦げつかないように手入れをする技術は,たいていの素人には無理であった。必ず焦げるものであった。料理の本には、炒め物用と卵料理専用のものと、別々にフライパンを用意すると書いてあった。鉄製フライパンで薄いクレープを焼くことは、素人には不可能に近かった。
 シルバーストーン加工のフライパンにより、誰でもが失敗せずにクレープを焼くことができるようになった。
 クレープミックスを、箱に書いてあるとおりに溶かし、フライパンに薄く油を引いて中火で焼く。固まったなら大きめのフライ返しで、クレープの中心を掬うように持ち上げてひっくり返し、裏側を焼く。長い菜箸をクレープの下に差し込んで、持ち上げてひっくり返してもよい。大皿に焼いたクレープを重ねていくのは楽しいものである。
 クレープに包む中身は、お祭りや町の店のものを参考にする。私は甘党ではないので、実は本格的には食べた経験がない。 

60.ホットケーキ

 ホットケーキミックスも手軽で安価であり、コスト・パフォーマンスに優れている。鉄製フライパンの場合には、フライパンの下に餅網を入れて、火が均一に回るようにしたものだが、シルバーストーン加工のフライパンでは、何のテクニックも必要としない。しいて言えば油をひき過ぎないことである。
 余分な油はテッシュを丸めて、割り箸でしっかりと拭き取る。逆に油をひくときは、ティッシュ割り箸を使う。油をひくのは2枚に1枚の割合でいい。むしろ引かないほうが、焼き色がきれいである。
 コツは火を強くしないことと、均一の量をおたまですくって、中央に平らに垂らし、きれいな円形に仕上げることである。
 表面にブツブツ気泡ができて、下が固まってきたらフライパンをゆすり、ホットケーキを動かして、一気にフライパンをさばいてひっ繰り返す。慣れないと落とすので、フライ返しを使う。
 バターを溶かしながら塗って食べる。ホットケーキにはコーヒーより紅茶が欲しい。この頃のホットケーキミックスには、メープルシロップが入っていないので、つまらない。休日の朝、CDを聞きながら、ホットケーキに紅茶の朝食を取る。一人ではもったいない。

61.お好み焼き

 下ごしらえはキャベツの細切りで、野菜炒めに使うより細く切る。千切りキャベツのようにうんと細く切ってもよいが、手間と時間とどちらを優先するかという問題である。たっぷりの量を用意する。
 ポリ容器か丼にキャベツを入れて(一つまみ残しておく)、水で薄く溶いた小麦粉を上からかける。キャベツ筋コンクリートという感じで、小麦粉とキャベツが一体になるようにする。
 豚肉スライスを2〜3枚、焼き肉のようにフライパンで焼く。片面が焼けたならひっくり返す。キャベツ筋コンクリートをフライパンの底が見えなくなるぐらいに入れて加熱する。
 キャベツの下が固まり底が焼けたなら、全体をひっくり返す。両面焼けたなら一旦火を止めて皿に移す。
 卵を1個器に割り、溶いておく。あいたフライパンに一つまみのキャベツを敷き、卵を上からかけて、先に作ったお好み焼きを、またフライパンに重ねる。上下はどちらでもよい。卵が固まったなら、卵のほうを上にして、皿に移す。
 鰹節やもみのりをかけて、ソースをかけて食べる。お好み焼きと言うより、焼き肉とキャベツの卵・小麦粉とじというものに近いが、1枚のフライパンでいろいろなものを重ねて、厚いものを作り中まで火を通すには、分割する方法が結果として時間がかからない。
 豚肉の代わりにベーコンやショルダーベーコンなどでもよい。キャベツはたっぷりの量を入れ、上からフライ返しで押しつけて火を通す。紅生姜を添える。
 お好み焼きソースを売っている。とんかつソースやウスターソースに、お好み焼きソースと3本そろえれば置く場所に困る。お好み焼きソースをとんかつにかけてもおかしい味にはならない。少し甘いソースとなる。
 ピザパイにはトッピングの種類がたくさんある。お好み焼きもいろいろあってもよい。茄子を縦に細く切り、ベーコンや肉と一緒にフライパンで焼き、鰹節をたっぷりとかけ、卵を割り入れ、キャベツをのせて上から溶いた小麦粉をかけてひっくり返し、両面焼いたり、焼きそばをはさんだり、冷蔵庫から使える材料を探して試してみよう。