L.魚 

ロースターを使わず、生ごみを出さず魚を食べることは難しい。
51.丸干し

 頭からしっぽまで、ごみを出さずに食べられる魚は、鰯の丸干しとシシャモである。どちらも居酒屋の重要なメニューであり、餅網を使いガスレンジで焼く。小さな魚なので焦げないようにつきっきりで焼く。しっかりと干してあるもののほうが簡単に焼け、保存がきく。小さな丸干しやきびなの丸干しは、フライパンで弱火で焼いてもよい。

 しらす干し・ちりめんじゃこをぜひお薦めしたい。パック入りの小さなものでも一人用には量があるので、冷凍保存する。しらす干しは大根おろしとセットで、しらすおろしにする。カルシウムと野菜が一緒に食べられる。
きゅうりをスライサーで薄くスライスして、塩もみしてから手で絞り、しらすを混ぜて酢の物にする。酢・醤油・砂糖を混ぜた三杯酢をかけて小鉢に盛る。桜海老も同様に、大根おろしで食べる。
 しらす干しなどの小魚は、炒飯などの炒め物に加えたり、大根の葉など青菜の煮物に入れて、風味とだしを利用し、カルシウムを補給する。ちなみにカルシウムが不足すると、怒りやすく、性格が凶暴になるということである。煮干やしらすでカルシウムを補給し、キレないように育とう。

52.竹輪と蒲鉾

 某球場での野球観戦のおり、観客席に売りに来るビールの肴は竹輪だけであり、苦笑した経験がある。

 徳島の小松島港で夜明け前に食べた青竹に巻いて焼いてある竹輪は、さすがに焼き魚に近くいい味であったが、歯に竹が当たる感触はよくないものだ。
 竹輪はわさび醤油で食べるのがうまいが、ししとうなど、野菜と一緒に煮るのも相性がいい。こんにゃくや人参、油揚げなどと煮つけてもさりげない。
 ちくわを縦半分に切り、フライパンで油で炒め、砂糖・醤油をかけてからめて、少量のだしで割り、蒲焼き風にする。また刻んで炒飯に入れてもうまい。
 蒲鉾は、値段がピンからキリまである。値段の違いは、原料となる魚の種類の違いであり、安価なものはタラ100%で、高いものはグチなどの白身魚が主原料で、タラが0%となる。
 タラだけのものでも立派な蒲鉾であるが、タラが少なくなるにつれて、味と歯ざわりが焼き魚に近くなる。パッケージの裏に原材料が表示してあるので、値段と見比べるべし。見た目は同じようなものだが、材料の組み合わせが違うだけで、あれだけの値段の違いとなる。
 蒲鉾は厚めに切って皿に盛り、わさびを添えて「いたわさ」にする。いいものはそのまま生で味わうべきであり、安いものはうどんに入れたり鳥肉・人参などと煮る。吸い物の中身にしてだしを取る。少し古くなったものは薄切りにして、フライパンで加熱する。
 薩摩揚げはフライパンや網であぶり、生姜醤油で食べる。
 鮪刺身の残りやブツ切りは、とろろ芋をすりおろして「山かけ」にする。もっと余ったなら長ねぎのブツ切りといっしょにフライパンで焼き、醤油味のステーキにする。ねぎまである。長ねぎと一緒に煮て醤油味の汁に仕立てた、ねぎま鍋もうまい。

 鮭の切り身はフライパンで焼き、サーモンステーキにする。塩を振りレモン汁をかけて食べる。バター焼きもよい。ムニエルも簡単だ。切り身に塩・胡椒して小麦粉をまぶしてフライパンでソテーする。
 油をしいて単純に焼くことをソテーという。
 魚ではないがほたて貝の冷凍が売られている。どこででも手に入る。解凍(半日前に冷凍庫から冷蔵庫に移しておく)して、フライパンで焼いて食べる。甘辛の煮付けにしたり、えびと一緒に海の幸カレーに入れたり、スープにしたり、使い道がいろいろある。ぜいたくに佃煮にして、保存もできる。

 ほっき貝の炒飯
 冷凍のほっき貝3枚を刻み、長ネギのみじん切りと一緒に油で炒めて、ご飯を加えて炒飯にする。卵は入れない。味付けは濃縮そばつゆをそのままフライパンの上のご飯にかける。
 素朴な、ぜいたくな炒飯ができあがる。 

53.魚の缶詰 

鯖の水煮のサラダ

 鯖の水煮缶詰をあけて水気を切り(缶切りで1か所、1センチだけ残して缶を空け、ふたをしたまま逆さにして水を振り切る)鉢にあけて、かいわれ大根を1パック分全部かける。
 かいわれ大根は、根の部分をナイフで切り取り、ボウルに入れて水洗いして、種のからを取り除く。手でつかみだし手を振って水分を飛ばす。これをたっぷりと魚の上にのせる。1パック分ではなく2パック分でもよい。とにかく魚が隠れてしまうぐらいかけて、マヨネーズをかけ醤油をかけて食べる。さっぱりとした味になり、調理時間は3分程度でとても早い。
 かいわれ大根の代わりに大根おろしでもよい。大根おろしのときはマヨネーズではなく、醤油だけにする。

 湾岸戦争の影響で、鯖の水煮缶詰の輸出が激減したという新聞記事があった。中東諸国へのわが国の輸出品であったそうである。アラブ諸国で鯖の水煮缶詰をどうやって食べるのかと、不思議に思った。
 景気がいいとアジアからの出稼ぎ労働者がたくさん中東に行き、ご飯を炊き、ご飯のおかずに鯖缶を空けるという順番であった。戦争で出稼ぎの口がなくなり、それぞれの国に帰国してアジア人が少なくなると需要が減る。日本では鯖の味噌煮が有名だが、水煮だとそれぞれの国の味に加工できる。
 缶詰のおかずは概して甘い。デパートやスーパーマーケットの完成品のおかずも甘い。私はよその家庭では、普段こんなに甘いものを食べているのかと不思議に思っている。皆さんはどう思っているのだろうか。
 鮪のフレークの缶詰も嫌になるほど甘い。あの甘みを消す方法は大根おろししかない。

54.シーチキンピラフ

 小学校の給食の人気メニューはカレーライスとシーチキンピラフなそうである。自作の場合は1人分だと飽きがくるので、来客があるときに試してみよう。
 2〜3人分で小缶1個ぐらいがちょうどよい。米を電気釜で炊くように、人数分といでから、ざるにあけて水気を切る。玉ねぎ半分をみじん切りしてフライパンに入れ、シーチキン缶詰をサラダオイルのままフライパンに空けて、一緒に油炒めにする。
 マッシュルームの缶詰があれば入れる。さっと塩・胡椒して、玉ねぎが半生の状態で火を止める。
 ざるの米をフライパンにあけて、また加熱する。米が温まったころに水をコップで1杯フライパンに入れ、固形スープを1個加えよく溶かす。固形スープが溶けたなら火を止める。そのまま電気釜に移し、規定の分量より心持ち多い目に水をたして、あとは普通のとおりスイッチを入れる。理論的にはシーチキンと玉ねぎの分量だけ水が少なくなっており、少し固めのご飯になってピラフらしくなる。
玉ねぎとシーチキンを炒めるときにバターを使えば、洋風の味になる。塩加減はコンソメスープの素がベースとなっており、また塩・胡椒して玉ねぎを炒めるので、結構味がついている。塩加減は経験によるべし。