K.煮物

49.おでん

 自分で作るのも簡単である。おでんのつゆはインスタントを使う。粉末で小わけされており保存がきくので、残っても大丈夫だ。関東風と関西風とがある。色さえ気にしなければ、そばつゆで代用できる。うんと薄めて塩を足して使える。どうせ、だしはおでんの種から出るので、気を使う必要はない。
 おでんの種はたくさん欲しくなるから、何かが冷蔵庫にあるときに作る。地方により特殊な種があり、100種を越すそうなので、自分の好みで選ぶ。
 薩摩揚げ・竹輪・ハンペン・生揚げ・がんもどき・油揚げ(中に餅を入れるとボリュームがある)・豆腐・ゆで卵・大根・じゃがいも・こんにゃく・昆布・つぶ貝・ほたて貝。

 大根やじゃがいもは皮をむき、適当に切って鍋に最初に入れる。たっぷりのつゆで、弱火にしてじっくりと煮る。煮込み料理ではないので、一つ一つが食べられるように煮えればそれでいい。むしろ素材の味を大切にして、ごった煮にならないように、薄口の味にする。練り辛子を添える。
 鍋に残ったなら、無理をせずに翌日にまわす。冬場の料理なので1日1回加熱すると、4〜5日は大丈夫である。作り過ぎないように材料を絞ることがコツであり、友人が来て食べる相手があるときなどに作りたい。

 洋風おでん(ポトフー風)
 出しつゆのかわりにコンソメスープ、魚肉練り製品(薩摩揚げや竹輪など)のかわりに、ソーセージを使用する。野菜は玉ねぎ・人参・じゃがいも・にんにく。
 玉ねぎやじゃがいもは、小さめのものを丸ごと入れてもよい。ベーコンをきざんで味に加えるのもよい。ご飯ではなくフランスパンやワインがほしくなる。

 中華風のおでんも、あってもよさそうなものだが、思いつかない。水ぎょうざが簡単だ。ぎょうざは市販の、焼くだけになっているパック入りを使用する。ラーメン用の小さな鍋に湯をわかし、沸騰したらぎょうざを入れる。ぎょうざが加熱され、食べられるようになったら火を止める。熱いぎょうざを箸でつまんで丼に移し、博多ねぎをたっぷりのせて、醤油をかけて食べる。湯が少量入っていたほうが食べやすい。焼きぎょうざのような香ばしさはないが、あっさりしていて、おかず兼用のスープ代わりになる。

 

50.大根の煮物

 おでんの大根もうまいが、ブリかまと大根の煮物もうまい。しかし魚との煮物は後始末が大変なので、簡単な鳥料理をひとつ。 鳥の手羽元(ウィングスティック)を鍋に入れ、水を入れて火にかける。味つけは砂糖・酒・醤油。大根の輪切りを加えて、弱火で煮込む。大根の厚さは2センチぐらい。鍋の大きさに合わせ、半分に切ったり1/4に切ったり調整する。
 スープは飲まないので、また、ゼラチンで固まるので、水の量は大根とウィングスティックが隠れるぐらいにする。若い人はフライドチキンが好きだから、ウィングスティックはおなじみだと思う。それを甘辛に醤油味で煮るだけであり、特にスパイスなどもいらない。じっくりと煮込むと、肉が骨から簡単にはずれるようになる。
 大根は鮮度が大切であり、どんどんしぼんでしまう。1本買ったならどんどん食べる。大根おろし・味噌汁・煮物・大根サラダなど。 

 鮪の角煮
 角煮といえば豚肉であるが、昔からの東京の味は鮪である。刺身が残ったり、山かけ用の鮪角切りが余ったときに試してみる。サイコロより大きめに四角に切り、鍋に入れ、根生姜の千切りもたくさん入れて、砂糖・酒・醤油・味醂で煮る。香りだけでなく、生姜も佃煮にするつもりで作る。

 こんにゃく
 手で一口大にちぎり、鍋に入れ、そばつゆの濃いもので煮る。一味唐辛子をかける。作り方は至って簡単であり、そのわりには素朴でうまい。

いなり
 いなりずしのいなりである。あるいはきつねうどんのきつね。小さめの鍋に水を少なめに入れて火にかけ、砂糖・醤油・和風だしの素を入れて、半分に切った油揚げを入れ、弱火で煮る。油揚げがふくらんで汁から出てしまうので、小皿を鍋の中にいれて落としぶたにする。
 落としぶたというのは、鍋の直径より小さな木のふたなどで、直接、鍋の中で煮物の上にふたをする意味である。
 うどんにのせなくても、そのまま食べてもおかずになる。油揚げの代わりに厚揚げ(生揚げ)を一口大に切り、汁の量を多くして、白菜を入れて煮る。煮上がったところに生卵を入れて、弱火でじっくりと固める。白菜と油揚げと卵の、ボリュームたっぷりの簡単おかずになる。
 油揚げを薩摩揚げに、白菜を小松菜やちんげん菜に代えたりするが、野菜と練り製品の煮物はバリエーションが多い。油揚げと薩摩揚げは似たようなものだが、相性がいいので、好きなら両方入れてもよい。