味付きゆで卵の研究と考察
1.研究内容
殻を剥く前のゆで卵に塩味をつける方法とその原理
2.動機
我が家の科学は、いつも台所から始まる。小学校の頃から、「電子レンジでゆで卵」 「ミニトマトの研究」 「卵料理日記」と、食べ物に関わること(しかも卵ばっかりだ)を題材として研究をした。そんな私と、同じく卵好きである私の父とが、気になっているものがあった。
『 味 付 け ゆ で 卵 』だ。
ゆで卵である。あの小学校の家庭科で最初に習う、日本一簡単な料理だ。だがそれに味をつけるとなると、意外に資料がない。自宅であのキオスクの『味付けゆで卵』を再現してやろう、そして美味いゆで卵を食べよう。実験が始まった。
3.方法と条件
a 最初から塩水で茹でる
b 真水で茹で、卵が熱いうちにそこに塩を投入する
c 真水で茹で、卵が熱いうちに熱い塩水に漬ける
d 真水で茹で、卵が熱いうちに冷たい塩水に漬ける
e 真水で茹で、卵が熱いうちに味噌に漬ける
f 真水で茹で、卵が熱いうちに醤油に漬ける
(茹で時間はいずれも沸騰してから8分、塩量は水1gの飽和量)
4.実験結果
こんなんなりました。
〇 味のついたもの
c 真水で茹で、卵が熱いうちに熱い塩水に漬ける
d 真水で茹で、卵が熱いうちに冷たい塩水に漬ける
多少の誤差はあるが、しっかりと塩味がついていた。卵自体の個体差の問題だろう。
× 味のつかなかったもの
a 最初から塩水で茹でる
b 真水で茹で、卵が熱いうちにそこに塩を投入する
e 真水で茹で、卵が熱いうちに味噌に漬ける
f 真水で茹で、卵が熱いうちに醤油に漬ける
bとeは残念ながら失敗。 fは殻の割れ目から醤油が染み込んだ形跡があり、その部分には味がついていた。薄皮は破れていなかったので、ただ醤油がついただけと言うわけではなさそうだが、正確な結果とは言えないだろう。よってこちらに分類した。
以上の結果より分かった、「殻付きゆで卵に味をつける方法」を以下に記載する。
「殻付きゆで卵に味をつける方法」
(茹で時間はお好みで。実験で使った8分でやると、黄味が緑色になる一歩手前になる。)
↓
実験で漬けておく塩水は熱くても冷たくても成功したので、ただの水に食塩を放り込むだけで良い。
↓
5.考察
〈今回の実験で使った塩水〉
塩の飽和溶液中の塩の量(溶解度)と密度(比重) |
||||
温度(℃) |
溶解度 g/100g |
密度 g/p3 |
||
0 |
26.28 |
1.2093 |
||
20 |
26.39 |
1.1999 |
||
100 |
28.15 |
1.1660 |
具体的に 100gのお湯で示すと、20℃の水が35gほど、100℃のお湯が40gほどが良い。
〈浸透圧の原理〉
濃度の違う水溶液同士が、互いの濃度を均一にしようとする働きを浸透圧と言う。濃い溶液が薄まるように薄い方から濃い方へ水が移動する。
キュウリの塩もみも同じ原理で、振り掛けられた塩分を薄めようとキュウリから水が出てくるのである。卵の殻には無数の穴が開いている。この卵を濃い塩水につけると、塩分の多い塩水と少ない卵の間で、塩分を一定にしようとする働きにより塩が移動して、卵の殻の間に塩分が入りこむ。卵によって塩分の濃さが違ったのは、殻の穴の数や位置、殻の厚さ、穴の大きさなどの個体差によるものであると思われる。
余談ではあるが、ゆで卵は作ってすぐ冷やすと殻がむきやすくなるといわれている。本当だろうか?私は何回やってもうまくいかない。どうも正しい説だとは思えないのだが…。